スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

薬害肝炎訴訟 判決

もう1週間以上も前になりますが、6月21日、薬害肝炎訴訟の判決がありました。判決要旨はこちら

結論は、判決の対象となった原告13名のうち、5名については国の責任と製薬企業の責任を両方認め、4名については製薬企業の責任だけを認め(国の責任は否定)、残りの4名については国の責任も製薬企業の責任も認めなかったのです。

同じように血液製剤の投与を受けてC型肝炎にかかっているのに、なぜこのように結論が分かれたのか。

それは、製薬企業の責任については1985年8月、国の責任については1987年4月という形で責任を負う時期について線引きをしたから。

それでは、製薬企業や国は、1985年や1987年まで、本当に危険だということが分からなかったのか。

否。

日本政府がいつも追随しているアメリカでは、1977年、食品医薬品局(FDA)がその危険性故に承認を取り消していた。狂牛肉とか、あんなにずさんなアメリカでさえ取り消しを免れ得なかったフィブリノゲン製剤なのだ。日本政府がいつもやっているように、アメリカ追随政策をとっていれば、こんなC型肝炎被害はなかったのだ。

しかし、日本政府は都合の悪いときはアメリカ追随政策をしないのだ。

なぜ都合が悪いのか、それは、ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が在庫を抱えて損をしてしまうから。厚生省の大事な天下り先であるミドリ十字が損をしては困るのだ。

ミドリ十字のもうけと、厚生官僚の天下り先確保という、彼らの利益のためだけに、何万人という人がC型肝炎ウィルスに感染してしまったのだ。

しかし、この判決にも見るべきところはかなりあって、その中でも、いわゆる輸血併用事例であっても因果関係を認めた点はかなり評価できるでしょう。

どういうことかと言いますと、フィブリノゲンだけしか投与されていない人は、C型肝炎ウィルスが体内に入ったルートはフィブリノゲンだけだ、ということが出来ますが、輸血もしているしフィブリノゲンの投与も受けたという人の場合、どちらからウィルスが入ったのか、ということが問題になるのです。

輸血の場合、少々危険でも輸血しないわけにはいかないという理由で免責されることになってしまう可能性があるのですが、この判決では、輸血の血液によるC型肝炎ウィルス感染の危険性とフィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウィルス感染の危険性とをくらべて、フィブリノゲンの危険性の方が圧倒的に高いから、ということでフィブリノゲンから感染したと認めているのです。

法律論的に言えば、ここを突破できたことは非常に大きい意味があると思います。

しかし、やはり製薬企業にしても国にしても、責任を認める時期が遅すぎます。

この判決に対して、国は控訴しました。

国民の安全を守るはずの厚生省がその役割を果たさなかったことは明らかなのに…

そして、C型肝炎。

放っておくと、肝炎→肝硬変→肝がんと悪化する一方です。

ウィルスを除去するため、インターフェロンという薬を使うのですが(ちなみに、必ずしも全員に効くわけではありません。ウィルスの遺伝子型で効くタイプと効かないタイプがあるそうです。)、これがひどい副作用で、話を聞くと、経験したことのない私でも「うぇっ」となってしまいます。さらに、最近ではずいぶん保険適用の範囲が拡がってきましたが、これまでは自由診療で行われてきたのです。インターフェロン治療に数百万円とかザラでした。

原告でもあるDearLIFEのinner childさんの言葉を借りれば「金の切れ目が命の切れ目」なのです。

国が控訴したことで、争いは控訴審に移ることになりました。

しかし、肝炎治療体制の確立は、控訴審を待たずに今すぐにでも実現されなければなりません。病気と闘う被害者には時間がないのです。

そして、薬害根絶。

この日がいつ来るのか、厚生労働省は自らの責任を自覚してほしいものです。薬によって病気になった薬害被害者がそこに存在するのに、責任逃れをしている場合ではありません。

コメント

国の責任だけでなく、そこで国策を担当した公務員の個人責任を問うことは出来ないのでしょうか?
国と連座して、例えば厚生省の何々部何々課の誰それも裁判で責任を追及されるようになれば、もう少し中央の役人も慎重な判断をするのでは?
それと、私企業が問題を起こすと三菱自工のように会社の存続が危ぶまれる事態になりますが、官庁はどんな判断ミスや利益誘導による問題を起こしても、結局ツケは国民全体がかぶることになるのも、なんだか…。

>緑茶のふろく様
日本では、国家賠償法という法律があって、そこでは国(又は地方公共団体)が、公務員の責任を代位して責任を負うと規定してあって、公務員自身は責任を負わないとしています。
公務員個人が何らかの責任を負う場合としては、違法な公金支出があって住民訴訟が起こされる場合などがあります。
戦前は国家無答責といって、国家は何があっても責任を負わないとされていたのに比べればましにはなっているのですが…

ご教示ありがとうございます。
官僚主導型の国家は、ある面では極端な政権の際にブレーキがかかる利点もあって良いのですが。
薬害、公共工事、食品安全、等々、大義より省庁や個人の利権や面子を優先してるのでは?と公僕の方々を信頼しづらいのが残念です。(ちゃんとした人材もいますけど)

>緑茶のふろく様
公務員の方々も、個々の人々を見ていけば良い人が多いのではないかと思うのですが、組織になってしまうと守りに入ってしまうというか、誤りがあってもそれを認めないというか、そんな感じになっているのではないかと思うのです。
本当は、そういうときこそ、リーダーがリーダーシップを発揮する場面なのですが(薬害エイズの時の菅さんとか、ハンセン病の時の小泉さんとか)、今の大臣さん方(任期を迎えてやる気のない小泉さんや厚労大臣の川崎さん)にはそんな気概はないようです。

薬害C型肝炎訴訟原告が国の控訴を批判

PING:
BLOG NAME
薬害C型肝炎訴訟で、国が大阪地裁判決を不服として控訴したのを受け、原告と弁護団は29日、厚生労働省で記者会見し、「控訴は許されない」と批判した(2006年6月29日)。大阪、福岡両地裁で係争中の原告5人が出席。薬害肝炎全国弁護団長の鈴木利広弁護士は以下の声明文を読み上げ...

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://tocchi1976.blog91.fc2.com/tb.php/129-198a87f3

 | HOME | 

Appendix

tocchi1976

tocchi1976

某所(旧ブログを見ればすぐに分かります。このブログでもいずれすぐにわかります。)で弁護士をしています。このブログを開設した時点で7年目です。



Calendar

« | 2017-08 | »
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Monthly


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。