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憲法は、何のために、誰のためにあるのか

日弁連人権擁護大会が11月10日~11日にかけて鳥取市で行われました。

私は、シンポジウム第1分科会の実行委員として、
この1年間ほど、この人権大会と関わってきました。
シンポジウム第1分科会は、現在行われている改憲論議を正面から取り上げるものとなりました。
そのテーマが「憲法は、何のために、誰のためにあるのか」でした。

これは、これまで、自民党や民主党から出されてきた改憲構想が、
「憲法は国家権力を制限するもの」という、
近代立憲主義の到達点を後退させるものとなっていたことに対して、
人権擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士、日弁連が警鐘を鳴らそうというものでした。
例えば、自民党論点整理が「国民の利益ひいては国益を守り、増進させるために公私の役割分担を定め、国家と国民とが協力し合いながら共生社会を作ることを定めたルール」と述べてみたり、
民主党中間提言が「国民と国家の強い規範として、国民一人ひとりがどのような価値を基本に行動を取るべきなのかを示すものであることが望ましい」などと述べていたところです。
これらは、明らかに憲法の規範の対象を国家のみならず、国民にまで拡げていくものでした。
このことに対して、日弁連は反対の立場で意見表明をすることになりました。

そして、シンポジウムに引き続き行われた大会では、
「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」が採択されました。
しかし、これはかなり紛糾することになりました。
議論になった点を簡単に言うと、宣言の中で、
「日本国憲法の理念および基本原理に関して確認された」こととして、「憲法は、戦争が最大の人権侵害であることに照らし、恒久平和主義に立脚すべきこと」と述べつつ、
また「日本国憲法第9条の戦争を放棄し、戦力を保持しないというより徹底した恒久平和主義は、平和への指針として世界に誇りうる先駆的意義を有するものである」と述べ、
9条2項について先駆的意義の確認にとどまり、その改正について明確に反対する態度を示さなかった点にあります。
これに対して、9条2項の改正に反対する立場の方々から強い反対意見が出されたのです。

私自身は憲法9条2項を変えることは反対であると考えています。
ですから、もっと踏み込んだ宣言をしたいという気持ちもありますし、
この宣言では不足があるとも感じています。
そして、日弁連の正副会長会で修正の意見が出され、歯がゆい思いをしたことも事実です。
しかし、私はこの間の議論に参加し、忸怩たる思いで修正を行ってきた経過をつぶさに見てきて、
この宣言に賛成しました。

私がこの間の議論の中で痛切に感じたのは、
日弁連の会内合意とはなんぞやという問題でした。
日弁連は強制加入団体であり、日本国内で弁護士であろうと思えば、
必ず日弁連とその地域の弁護士会に加入しなければなりません。
ですから、その意見は多様です。
現に、自民党・民主党・公明党・共産党・社民党といった主要な政党すべてにおいて日弁連の会員の国会議員が存在します。
そのような中で、日弁連が、言ってみれば「乱暴な」ことはすべきでない、
できない、ということでした。
確かに、シンポジウム第1分科会の実行委員の顔ぶれを見れば、
その多くが9条2項の改正には反対していると思われます。
人権擁護大会の場でも、
おそらく9条2項改正に反対する内容の宣言で過半数を取ることはできたでしょう。
しかし、人権擁護大会に参加していた会員は600名程度、
これで2万人いる日弁連会員の総意を代表しているといえるのか、
そこは慎重にならざるを得ないでしょう。
今、高い会費と半ば義務的な会務活動に対して懐疑的、批判的な会員は決して少なくないと思います。
そして、そのような会員は、日弁連が「政治的」な行動を取ることに対して総じて批判的です。
今後、弁護士の大量増員時代を迎え、日弁連が「乱暴な」行動を取ってしまったときに、
弁護士自治を支えるところの強制加入性が揺らぎかねない、
とも考えうるのではないかと思っています。

また、このような宣言であれば出す必要はない、との意見も出されました。
しかし、それでは、今の改憲論議、あまりに多くの問題を抱えた改憲論議に対して、
日弁連が沈黙してしまうことになります。
しかし、それは許されないと考えます。
今の改憲論議の最大の争点が9条2項であることは間違いありません。
しかし、改憲論議の問題点は9条2項のみにとどまるものでないこともまた事実です。
ですから、日弁連が、その一致できるところで、
改憲論議に対して発言することが大切だと考えるからです。
今、この時期にしなければ、それではいつするのか、ということです。

今年の人権擁護大会で、憲法問題に対する宣言をあげることができたことは、
大きな意味を持っていると思いますし、
日本国憲法9条、1項も2項も含めて、その先駆的意義を確認することができたことにも大きな意味があると思っています。

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「9条あれば、悪い国でも"日本侵略=恥"と思う」日弁連人権大会…鳥取

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さすが人権大県鳥取。
第48回人権擁護大会が10、11の両日、鳥取市の県民文化会館などで開かれる。
改憲論議について県弁護士会の松本光寿会長に聞いた。
――改憲論議の狙いは9条か?
 改憲論者の中には、軍隊がないと北朝鮮が攻撃した時...

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某所(旧ブログを見ればすぐに分かります。このブログでもいずれすぐにわかります。)で弁護士をしています。このブログを開設した時点で7年目です。



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